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乙4 法令

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運搬・移送関係

消防法上では、原則、容器などに収納して危険物を運ぶことを「運搬」といい、移動タンク貯蔵所を使用して危険物を運ぶことを「移送」といいます。

運搬は危険物の取扱数量に関係なく適用されます。したがって、本来なら「灯油」などを運搬している一般の方々もこの基準が適用されます。守られていないのは収納容器の固定や規定外の収納容器への詰め替えです。
ガソリンをプラスチック容器に詰め替えて運搬すると、3ヶ月以下の懲役又は30万円以下の罰金となりますので注意してください。基本的にガソリンスタンドで入れてくれませんし、セルフスタンドでお客が容器へガソリンを入れることも禁止されています。

移送は移動タンク貯蔵所ですから、当然、厳しい規制が有り、それらを守らないときは市町村長等からの措置命令や乗車している危険物取扱者の免状の返還命令など厳しい処分の対象ですので、十分注意してください。

運搬

危険物の運搬とは、車両等を使用して危険物を他の場所へ移すことを指します。これには指定数量未満の危険物の運搬についても規定が適用されます。

運搬容器

  • 材質は、鋼板、アルミニウム板、ブリキ板、ガラス、プラスチック等と定められています。陶器は不可です。
  • 容器の構造は、堅固で容易に破損する恐れがなく、かつ、その口から収納された危険物が漏れる恐れがないものと規定されています。
  • 運搬容器の性能は、原則として落下試験等の基準に適合したものでなくてはならないと規定されています。
  • 運搬容器には基本的に「品名」「危険等級」「化学名」「数量」「収納する危険物に応じた注意事項」を表示しなければならないと規定されています。

※ これ以外にもありますが、この項目を覚えるだけで十分です。

積載方法

  • 原則として、容器に収納して積載
  • 温度変化等により危険物が漏れないようにして密封して収納
  • 固体の危険物は、内容積の95%以下の収納率で収納
  • 液体の危険物は、内容積の98%以下の収納率で、かつ55℃以上の温度において漏れないよう空間容積を確保して収納
  • 運搬容器等が、転落、落下、転倒または破損しないように積載
  • 運搬容器の収納口は上を向けて積載
  • 同一車両に異なった類の危険物を積載し運搬する場合は、下記のような規制があります。
  第1類 第2類 第3類 第4類 第5類 第6類
第1類   × × × ×
第2類 ×   × ×
第3類 × ×   × ×
第4類 ×   ×
第5類 × ×   ×
第6類 × × × ×  

※指定数量の1/10以下の危険物には不適用

※高圧ガスなどとは混載禁止

上記の表の覚え方

闇雲に覚えるのも良いですが、それぞれの類の数字を合計して「7」となれば混載可能です。これはあくまでも上記の表を覚えるための考え方です。

例えば、第3類と第4類を混載出来るかというと、「3+4=7」でOKです。

例えば、第4類と第6類を混載出来るかというと、「4+6=10」でNGです。

これには例外もあり、第4類は酸化性の物質以外であれば混載が許されています

例えば、第2類と第4類を混載出来るかというと、「2+4=6」ですが第4類の例外により混載OKです。

第4類の可燃性液体は、第1類と第6類の酸化性物質とさえ混載しなければ、OKとなっています。

運搬方法

指定数量以上の危険物を運搬する場合には次の規制があります。

  • 車両の前後の見やすい位置に一定の標識を掲げなければなりません
  • 休憩等のために車両を一時停止させるときには、安全な場所を選び、かつ、運搬する危険物の保安に注意しなければなりません。
  • 運搬する危険物に適応する消火設備を備えなければなりません

移送

移送とは、移動タンク貯蔵所により危険物を運ぶ行為を良い、移送に関しては基準が設けられています。

  • 移送する危険物を取り扱うことができる資格を持った危険物取扱者が乗車すると共に、危険物取扱者免状を携帯しなければならない。
  • 危険物を移送する者は、移送開始前に、移動タンク貯蔵タンクの底弁、マンホール及び注入口の蓋、消火器等の点検を十分に行わなくてはならない。
  • 長時間(連続運転時間が4時間を超える、または、1日あたりの運転時間が9時間を超える)にわたる恐れがある移送の場合には、原則として2名以上の運転要員を確保しなければなりません。
  • 休憩等のため移動する移動タンク貯蔵所を一時停止させるときは、安全な場所を選ばなければなりません。(下が草むらなどの空き地に停止させることは違反です)
  • アルキルアルミニウム等を移送する場合は、移送の経路等を記載した書面を関係消防機関に送付すると共に、書面の写しを携帯しなければなりません。
  • 移動タンク貯蔵所には次の書類等を備え付けておかなければなりません。
    • 完成検査済証
    • 定期点検記録
    • 譲渡・引渡の届出
    • 品名・数量または指定数量の倍数の変更の届出

 

上記、運搬・移送の基準の中から必ず1題、若しくは関連する問題が数題出題されます。

最近の傾向としては運搬基準の方が出題が多いようです。移動タンク貯蔵所の移送基準については法令科目前半で移動タンク貯蔵所の問題として取り扱われることが多いです。