「重要文化財」「人が多く集まる施設」「高圧ガス施設」「住宅」「特別高圧架空電線」などについては、製造所等から「保安距離」という一定の距離がなければ建設の許可が下りません。
対象建築物 | 保安距離 |
特別高圧架空電線7,000~35,000V | 3m |
特別高圧架空電線35,000V以上 | 5m |
住宅 | 10m |
高圧ガス、液化石油ガス施設 | 20m |
多数の人を収容する施設 | 30m |
重要文化財等の建築物 | 50m |
上記の保安距離はすべて記憶しなければなりません。
各対象建築物の説明を少ししておくことにしましょう。
皆さんが住んでおられるところで見ることが出来る電線です。地下埋設型の高圧電線は「架空」ではありませんので、関係ありません。ちなみに「架空電線」とは「電柱などにより支えられて空中に設置されている電線」です。
保安距離が一番短く3mに設定されているのは、比較的安全だからです。そうでなければ皆さんのご自宅も危険と言うことになります。
鉄塔などで支持されている遠距離に電気を送電するための電線と考えておいて問題ありません。
これも、非常に高い安全基準に従って建設された鉄塔と、断線等が起きない様に計算された架空基準、そして事故発生時の安全対策などが取られているためです。
製造所等の敷地の中にある住宅は別の規制となるので、ここでは一般の住宅と言うことになります。
日本は国土が小さいため、住宅地が点在しています。そのため、これをあまり厳しくすると産業が成り立たないためでしょう。
そして、もともと宅地しか建設出来ないところと宅地が建設出来ないところなどが分けられているため、保安距離の区分では10mという低い数値で定められています。
爆発が起きれば10mの保安距離など無意味なのですが、この国ではそう決められてしまっています。「間違っている!」と思う方は、国会議員になって法律を変更してください。
高圧ガス、液化石油ガスなどを貯蔵している施設のことです。
危険物と燃焼性ガスの組み合わせは厄介です。大災害を防ぐためにも住宅地よりもより長い保安距離を必要とします。
人がたくさん居る施設との距離が近ければ、災害時にたくさんの死傷者が出ることになります。
列挙されている施設は、「パニックとなって避難が遅れる」若しくは「心身に障害があり非難がままならない」といういずれかの理由で保安対象となっています。
これはあくまでも建築物です。
「重要文化財、重要有形民俗文化財、史跡若しくは重要な文化財として指定され、または旧重要美術品等の保存に関する法律の規定によって重要未術貧として認定された建築物」と規定されています。
単純に重要文化財や美術館と言うことで覚えておいても、解答に支障はありません。
この法律から邪推してしまうのは、「死んでも歴史的に価値があるものは守らなければならない」というおかしな価値観です。
消防法では一番遠い50mという保安距離が設定されています。納得ができなくても、とりあえず「この国では人の命よりも重要文化財が大切」と覚えましょう。
こんな理不尽なことも、記憶をする手助けとなります。
保安距離が必要な危険物を貯蔵・取り扱う施設は次の5つがあります。
予防規程に関する事と混同しがちです。
試験問題では「製造所等で」とひとくくりにして出題される問題が大半ですが、希に具体的な施設で出題される場合もあります。
給油取扱所(ガソリンスタンド)と地下タンク貯蔵所、それと販売取扱所(カー用品店など)、移動タンク貯蔵所は、保安距離がありません。皆さんのご自宅近くにもガソリンスタンドはありますし、カー用品店やホームセンターがありますよね?また、移動タンク貯蔵所にそんな規制をかけたら、どこにも運搬することが出来なくなります。そこんところは覚えておきましょう。